ザルツブルク
ザルツブルク (Salzburg) はオーストリア・ザルツブルク州の州都でオーストリア内で4つ目に大きな都市で、南西側ではドイツ領土のベルヒテスガーデンに接し、高速道路で西に140キロの位置にミュンヘン、東300キロに首都ウィーンという位置関係から、ドイツのバイエルン州との文化的関係も深い街です。鉄道でのアクセスの場合、特急でウィーンから約3時間、インスブルックから約2時間、ドイツ・ミュンヘンから約1時間半となっています。また空路でのアクセスの場合、市の中心部からバスで20分ほどのところにあるザルツブルクW.A.モーツァルト国際空港(SZG)までウィーンから50分ほどで、チューリヒ、フランクフルト、パリなど、ヨーロッパ各地との定期便もあります。
ザルツブルク近郊は岩塩の産地として古来から有名です。その昔塩は金と同じくらい貴重なものであったため、ザルツブルクは塩の集積地として発展しました。ちなみに、ザルツブルクという名はドイツ語で「塩城」を意味します。7世紀末に司教の管轄地となり、聖ペーター修道院が建てられ、この地域のカトリック布教拠点となったことで、ザルツブルクはますます発展しました。
8世紀末には大司教座がおかれた後、ザルツブルクに数々の立派な宮殿や城が築かれます。旧市街からすぐの丘の上にあるホーエンザルツブルク城は、難攻不落の城として知られているほか、また、17世紀前半にはイタリアの有名建築家フィッシャー・フォン・エアラッハにより数々の壮麗な教会が建てられ、「北のローマ」とも呼ばれるほどの町並みが築かれました。また、ヴォルフ・ディートリヒ、マルクス・シティクスなど、ルネサンス時代のメディチ家、ボルジア家をも連想させる強力な大司教によって今日のザルツブルクが築かれたところから「北のフィレンツェ」の別称もあります。第二次大戦中にドームが爆撃などの多くの被害を受けましたが、戦後は観光都市として復旧し、1996年にザルツァッハ川左岸と右岸のザルツブルク旧市街全体がユネスコ世界遺産に指定されました。
ザルツブルクは、モーツァルトの生誕の地としても有名で、とりわけザルツブルク音楽祭の開催される夏には世界中から集まる音楽ファンで賑わいます。また夏のみならず、一年を通じて4000を超すイベントを擁する充実した文化プログラムが催されています。
オーストリアの詩人であり、ザルツブルクをこよなく愛したヘルマン・バールは、「ザルツブルクは永遠に美しい。そして、人々は今が一番美しいと永遠に感じる……」と綴っています。そのくらいザルツブルクの景観は訪れる人々を魅了します。また旧市街の美しい景観もさることながら、その情景の素晴らしさで知られるザルツブルクの湖水地方であるザルツカンマーグートへのアクセスの便などもこの街の魅力となっています。
写真提供:ザルツブルク観光局